契約書チェックのポイント

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取引相手から契約書を渡されたら、次の項目は必ずチェックしてみてください。

1 解除条項

取引相手の企業の支払能力に不安を感じたり、反社会的勢力とのつながりがあることが判明した場合、契約関係を直ちに解消しなければなりません。逆に、貴社にとって、ビジネス上、取引関係を継続することが重要な場合には、取引相手の企業が、正当な理由なく契約関係を解消してこないよう、契約書上で歯止めをかけておく必要があります。

また、契約を解除し、または解除された場合のペナルティについても、目配りが必要です。

いかなる場合に契約を解除できるか、契約を解除した場合のペナルティはいかなるものであるか等の定めを解除条項といいますが、契約においては、解除条項が極めて重要な意味をもっています。契約書を渡された場合は、まず、解除条項がどのようになっているかをチェックする必要があります。

2 期限の利益喪失条項

取引先企業の信用状態に不安を感じた場合、貴社が被るダメージを最小限に食い止めるためには、直ちに債権全部の回収を図らなければなりません。

しかし、分割払いとなっていたり、支払期限がかなり先に設定されていたりすると、支払期が来ていない債権には手が出せません。

そうした事態を防ぐための条項が、期限の利益喪失条項です。例えば「乙が本契約の支払を1回でも怠った場合は当然に期限の利益を喪失し、直ちに甲に対して残債務全額を支払わなければならない」としておきます。このようにしておけば、分割払いの支払がなかった場合は、まだ支払期がきていない債権も含めて、全ての債権の回収に乗り出すことが可能になります。

相手方に付与した支払時期の繰り延べの効力を失わせる条項を、「期限の利益喪失条項」といい、債権回収の場面で非常に重要な役割を果たします。

3 裁判所の管轄合意

契約をめぐって裁判になった場合、法律上は、基本的に、当事者の所在地で裁判を行うことになりますが(貴社が東京都の企業であれば東京地方裁判所)、当事者間の合意で、それ以外の裁判所で裁判を行うことを強制することができます。これを合意管轄といいます。

特に地方所在の企業と契約を行う場合には、その企業の所在地の裁判所が合意管轄裁判所とされていることがありますので、注意が必要です。

4.まずは弁護士にご相談を

以上のチェックポイントは、特に重要な条項を取り上げたものです。実際には、もっと多くのポイントがあります。

契約書の条項をチェックする場合、法律知識や契約実務に詳しい専門家の援助が必要です。

1人で悩んでいるだけでは、不安を大きくするだけです。弁護士に相談することで、どの条項が貴社にとって有利であり、どの条項が貴社にとって不利であるかの判断を知ることができます。また、貴社がどうしても入れておきたい条件を、契約書のどの場所に、どのような表現で入れればよいかといったアドバイスを受けることができます。

きっと、あなたの不安も解消されることでしょう。

契約書に関するトラブルを防ぐため、また契約書に関する不安を取り除くためにも、まずは弁護士にご相談されることをお薦めいたします。