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高次脳機能障害

交通事故や頭部のけが、脳卒中などで脳が部分的に損傷を受けたため、言語や記憶などの機能に障害が起きた状態をいいます。
注意力や集中力の低下、比較的古い記憶は保たれているのに新しいことは覚えられない、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの精神・心理的症状が現れ、周囲の状況にあった適切な行動が選べなくなり、生活に支障をきたすようになります。また、外見上では分かりにくいため、周囲の理解が得られにくいと言われています。

高次脳機能障害の後遺障害等級認定について

脳外傷による高次脳機能障害について、自賠責保険における認定基準を補足する基準は以下の通りです。
(1)第1級3号
身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
(2)第2級3号
著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に制限されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないもの
(3)第3級3号
自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
(4)第5級2号
単純な繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
(5)第7級4号
一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから、一般人と同様の作業を行うことができないもの
(6)第9級10号
一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

高次脳機能障害はここ最近交通事故の訴訟において多く争われてきた事案です。高次脳機能障害についての詳細は法律の専門家である弁護士にお問い合わせ下さい。




損害賠償の現実

傷害事故(後遺症が残った場合)の損害額の計算は、以下の表のA~Eの合計額です。

A 治療関連費

治療費・付添看護費・入院雑費・通院交通費・装具代など

B 休業補償 

事故で減少した収入の補償

C 入通院慰謝料 

受傷(入通院)による精神的苦痛の補償
※入通院期間と傷害程度による基準がある。

D 後遺障害逸失利益 

後遺症により今後予想される収入減少分の補償
※事故前の年収や労働能力喪失率を基準に算定する。

E 後遺障害慰謝料  

後遺症による精神的苦痛の補償
※後遺障害の等級による基準がある。

当事務所に相談に来られる方からよく聞く声として、「相手方保険会社や相手方弁護士から示談の提案書が送られて来たけれど、その見方が分からない」というものがあります。そこで、示談の提案書に記載されている損害賠償の各項目に関する注意点を記載いたします。

治療費

相手方保険会社や相手方弁護士は、独自の判断により医療機関に対するあなたの治療費の支払(立替払い)を打ち切ることがあります。そして、それまでに支払った治療費のみを、その交通事故により生じた治療費の総額として示談の提示をしてくることがあります。
しかし、相手方保険会社が支払い(立替払い)を打ち切った後にあなたが支払った治療費であっても、それが適正なものであれば治療費として請求できる可能性があります。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院日数に応じた基準により金額が決まります。この点、相手方保険会社や相手方弁護士は、自賠責保険基準や任意保険基準をもとに金額を提示してくることが多いですが、それらの基準にもとづく金額は裁判基準にもとづくものと比べると低額であるのが通常です。

後遺症(後遺障害)

後遺症に基づく損害賠償には、後遺症によって仕事が制限され収入が減少する分の補償である「逸失利益」と、後遺症により生じた精神的苦痛に対する「慰謝料」の2つがあります。

「逸失利益」は、交通事故前の基礎年収×労働能力喪失割合×労働能力喪失期間という計算式で算出されます。相手方保険会社や相手方弁護士は、このうち労働能力喪失割合をできる限り少なく見積もって、逸失利益を低く算定しようとすることがあります。また、労働能力喪失期間をできる限り短く見積もろうとすることもあります。

「慰謝料」は、後遺障害の重さである後遺障害等級によって定まることとなりますが、相手方保険会社や相手方弁護士は、自賠責保険基準や任意保険基準をもとに、裁判基準とは比べ物にもならないくらい低い金額を提示してくることがあります。

過失相殺

過失相殺は、交通事故において被害者にも落ち度(過失)がある場合、その過失の割合に応じて損害賠償額を減額するための項目です。
過失の割合については、基本的な基準はありますが、最終的には当該事故の具体的な状況により決まるものです。しかし、相手方保険会社や相手方弁護士の提案書の中には、過失の割合につき、当該事故の具体的な状況について考慮せず、基本的な基準を機械的に適用して決めてしまっているものがあります。

相手方保険会社や相手方弁護士の示した示談の提案書について上記のような疑問を感じられる場合は、当事務所にご相談ください。




弁護士と行政書士との違い

弁護士と行政書士との違い

行政書士は、依頼者のために文書の作成をすることを仕事としています。

交通事故の場合、行政書士は保険会社に対する請求書を作成しています。

保険会社から賠償金を支払ってもらうには、保険会社に請求書を送付した後、示談交渉や裁判をしなければなりませんが、行政書士には、依頼者のために保険会社と交渉したり裁判をしたりする権限はありませんので、依頼者本人が保険会社と交渉し、裁判をする場合はあらためて弁護士に依頼することになります。

 弁護士は、依頼者に代わって交渉したり、裁判をしたりすることを主な仕事としています。依頼者のために文書を作成するだけではなく、依頼者に代わって保険会社と交渉し、交渉がまとまらなければ依頼者の代わりに裁判まで行いますので、交通事故の最初から最後まですべての手続きをすることができます。

弁護士

行政書士

書類作成

△(保険会社に対する請求書を作成。なお裁判所に提出する書類の作成は不可)

示談交渉

×

調停

×

訴訟

×




弁護士に相談するべき交通事故

(1)脳に深刻な障害が残った場合

  高次脳機能障害などでは必要となる介護の程度で賠償額に大きな違いが出てきます。将来の介護費は、賠償額の中で最も大きな部分を占めることもあるのです。金額が大きいだけに過失割合についても慎重に判断する必要があり、まず弁護士に相談をした方が良い分野です。

(2) 死亡事例

 死亡事例では、遺族自身の慰謝料も死亡した当事者の慰謝料とは別個に請求することができます。死亡事例では、死亡された方が高齢なのか、若年なのか等も大きく影響してきます。逸失利益には、死亡された方がもらうことができたではずの年金なども含まれます。

(3) 医療過誤との競合事案

 交通事故で入院した先で医療事故にあい、回復が遅れたり、回復しなかったという場合。医療過誤の専門知識と実績のある弁護士に相談しましょう。

(4) 内縁関係の被害者

 内縁関係にある人には相続権がないので、死亡した当事者の慰謝料等は相続できません。けれども、近親者として高額の慰謝料が認められるので、諦めないことです。

(5) 保険会社からの提示額に疑問がある場合

 弁護士と相談して損をすることは決してありません。示談をしてしまってから、この金額でよろしかったでしょうかと確認しに来る方がいますが、本当にもったいないと思います。
 
このような場合、まずは弁護士にご相談下さい。




交通事故




離婚原因

1 協議離婚

離婚は、両当事者が同意をすれば、離婚届に署名押印して提出するだけでできます。
しかし、一方が離婚に反対している場合は、離婚調停での合意が必要です。離婚調停でも離婚の合意に達しないときは、離婚裁判で離婚判決を得る必要があります。

2 離婚原因

裁判上の離婚が認められる場合として、民法では、5つの場合を挙げています。
① 不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 3年以上の生死不明
④ 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないこと
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由

3 不貞行為

上記5つの理由のうち、不貞行為が、最も離婚が認められやすいといえます。
ただし、裁判実務では、不貞とは、配偶者以外の異性と性的関係を持ったことをいいます。そのため、相手が不貞の事実を認めない場合は、立証が困難であるという事実上の問題はあります。通常は探偵を使って、ラブホテルに一緒に入るところや、一緒に旅行に行くところの写真を撮って証拠にします。
なお、不貞行為の事実は問題なく認められても、慰謝料や財産分与などの条件で合意ができず、なかなか離婚ができないというケースもあります。

4 婚姻を継続し難い重大な事由

上記5つの理由のうち、前半の1~4のどれにも当てはまらない場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが問題になります。
婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかどうかは、事案ごとの判断になりますが、以下の要素は離婚原因になり得ます。

・暴行、虐待
・長期間にわたる別居
 ・性交不能・性交拒否・性的異常
 ・アルコール中毒,薬物中毒
 ・過度な宗教活動

5 有責配偶者からの離婚請求

浮気をした夫が、妻に対して離婚を求める場合等、夫婦関係の破綻の原因を作った側が離婚を請求する場合は、原則として離婚は認められません。
しかし,次の事情を総合考慮して,夫婦関係の破綻に原因を作った配偶者からの離婚請求が認められる場合があります。

・別居期間が長い
・親から独立して生計を営むことができない子どもがいない
・離婚しても他方の配偶者が精神的,社会的,経済的に苛酷な状態にならない




自己破産と個人再生

1 自己破産とは

自己破産とは、経済的に破綻してしまい、支払時期が到来しても、自分のもっている資産ではすべての債権者に対して完全に返済することができなくなった場合に、裁判所に申し立てをします。

裁判所では、破産管財人を選任し、最低限の生活用品以外すべての財産を処分させ、全債権者に、債権額に応じて公平に分配させます。
なお、破産者にめぼしい資産がない場合には、破産管財人は選任されず、破産申立てと同時に手続が終了する場合があります。この場合を「同時廃止」といいます。

破産手続が終了すると、裁判所は、破産者を免責するかどうかの判断をします。免責が許可されると、破産者は、残りの債務を返済しなくてよくなります。

自己破産をすると、信用情報機関にその事実が登録されるため、5年間~10年間ほど、クレジットカードが作れなかったり、新規の借り入れができないというデメリットがあります。

他方で、免責が認められれば、債務を返済する義務を免れることができます。また、選挙権を失ったり、戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されるようなことはありません。

2 個人再生とは

個人再生とは、原則的として、住宅ローン以外の負債を5分の1にカットしたうえで、3年かけて返済していきます。住宅ローンは約定通り返済するのが原則ですが、それが難しい場合は、住宅ローン会社と3年間にわたりリスケして返済額を減らす交渉をします。

個人再生を利用するためには、住宅ローン以外の負債総額が5,000万円以下であること、継続して収入を得る見込みがあることという条件を満たす必要があります。また、再生計画を作成し、裁判所に認可の決定をしてもらう必要があります。

個人再生の場合も、自己破産と同様、信用情報機関にその事実が登録されるため、5年間~10年間ほど、クレジットカードが作れなかったり、新規の借り入れができないというデメリットがあります。

他方で、個人再生が認められると、「持ち家」を守りながら負債の圧縮が可能というメリットがあります。




傷害(タクシー運転手への暴行)

本件は、被害者様との示談が成立し、逮捕されることなく不起訴となったケースです。

1 酔ったうえでの暴行

ご依頼者様は、会社員でした。駅前で久しぶりに旧友と再会し、スナックやカラオケボックスで大騒ぎをした後、午前3時ころに旧友と別れて、1人でタクシーを拾って乗車したそうです。自宅前でタクシーが停車し、料金を支払う際に、タクシーの運転手さん(以下「被害者様」といいます。)とトラブルとなったそうです。

ご依頼者様は酔っていたため、その後のことはよく覚えていないそうでしたが、車外で被害者様ともみ合いになっていたところに警察官がやってきて、パトカーで警察署まで連れて行かれたそうです。ただ、その日は簡単な取調べを受けただけで、逮捕されることはなく、迎えにきてくれた奥様とご一緒に帰宅されたそうです。

2 検察庁からの呼出し

ご依頼者様としては、何かをしないといけないとは思いつつも、どうしてよいか分からず、月日が過ぎてしまったということでした。

そして、約1か月が経ったころ、携帯電話に検察庁から電話があり、傷害事件について取調べをしたいから、○月△日に検察庁に出頭してほしいと言われたそうです。ご依頼者様は、それまで1度も刑事事件を起こしたことがなかったため、検察庁からの電話にとても驚いて、逮捕されるのではないかと怖くなり、弁護士に依頼することにしたそうです。

早々に担当の検察官に電話をして、状況を確認したところ、「処分については未定だが、現時点で強制捜査までは考えていない」とのことでした。また、担当の検察官によると、被害者様は、「ご依頼者様から、お釣りを出すのが遅いとイチャモンをつけられ、運転席を蹴り上げられたりしたため、怖くなって車外に逃げ出した。すると、ご依頼者様が後ろから追いかけてきて、上着を捕まれ、バランスを崩して転倒し、肘と膝を負傷した。その後も依頼者様ともみ合いが続いていたところ、近所の人が出てくる騒ぎになり、やがてパトカーがやってきた」と仰っているということでした。

3 取調べ前の打合せ

検察庁への出頭日がくる前に、ご依頼者様と事務所でお打合せをしました。その際、「すぐに逮捕される可能性は低いが、何らかの処分を受ける可能性がある」と伝えました。そして、検察官から教えてもらった被害者様の言い分を伝え、ご自身の記憶と違うところがあるかどうか尋ねました。

ご依頼者様は、「よく覚えていないが、被害者様が転倒したのは事実で、それ以外についても、被害者様がそう言うのであれば、恐らく事実であろう」ということでした。被害者様に怪我をさせてしまったという重要な点が事実であれば、細かいところを争っても仕方ありません。そこで、取調べまでになるべく当日のことを思い出すこと、取調べでは事実を包み隠さず話すこと、被害者への謝罪の気持ちを調書に記載してもらうようにすることをアドバイスしました。

取調べが終わった後、ご依頼者様から、「事前に弁護士と打合せをしておいたお陰で、スムーズに受け答えができた。調書に被害者への謝罪の気持ちを入れてもらうこともできた」と聞きました。

4 被害者との示談交渉

取調べがあった後、被害者様と示談交渉を行いました。示談交渉は、被害者様のご自宅で行いました。被害者様は、個人タクシーの運転手さんでした。

被害者様は、謝罪が遅かったことにご不満を持っておられましたが、ご依頼者様の事情を説明したところご理解してくださり、当方が提示した金額で示談が成立しました。蛇足ですが、示談交渉でいろいろお話をするうちに、被害者様と打ち解けることができ、若いときは警察の厄介になることが度々あったこと、ある人との出会いがきっかけで真面目になったこと、建設現場で働いた後、個人タクシーの運転手となり、最近自宅を購入したことなどを教えてもらいました。

5 本件の解決

その後、検察官に「示談書」と「被害届取下書」を提出したところ、ご依頼者様は、逮捕されることなく、不起訴となりました。

本件は、前科前歴のない、ごく普通の会社員が被疑者となった事案でした。刑事事件は、誰の身に起きても不思議ではないということを、改めて思い知らされた事案でした。