盗撮事件

1 盗撮事件で逮捕されると

盗撮事件では、盗撮しているところを警備員などに目撃されて現行犯逮捕される、あるいは盗撮しているところを目撃した人から呼び止められ、警察に通報され現行犯逮捕されることがほとんどです。

現行犯逮捕されると、最長で72時間、身柄を拘束されます。その間は、警察署の留置場の小部屋で寝泊まりすることになります。留置場は、多くの場合、2人部屋か3人部屋です。

逮捕1日目は、警察署で簡単な取調べを受けます。逮捕2日目又は3日目には、検察庁に呼ばれて、検察官の取調べを受けます。検察官による取調べの結果、勾留請求をすることに決まると、逮捕3日目又は4日目に裁判所に呼ばれ、裁判官から質問(勾留質問)を受けます。その結果、裁判官が勾留することに決めると、その後さらに約10日間、身柄が拘束されます。勾留は1回に限り延長することが可能なので、1度勾留されてしまうと、最長で20日間(逮捕から23日間)身柄拘束が続くこともあります。

2 盗撮事件は短気集中型

前述のように現行犯逮捕されただけの状態であれば、身柄拘束は最長でも72時間で終了します。

しかし、逮捕2日目又は3日目に行われる検察官の勾留請求、逮捕3日目又は4日目に行われる裁判官の勾留決定とステージが進んでしまうと、身柄拘束はさらに10日間、場合によっては20日間続いてしまうことになります。

逮捕された方にとっては、できるだけ早く身柄を釈放してもらうことが非常に重要です。身柄拘束が2日・3日で終わるのであれば有給休暇で対応可能ですが、身柄拘束が10日以上続くとなると、それも難しくなります。盗撮事件では、逮捕直後の72時間で、どれだけ効果的な活動ができるかが重要になります。そのためには、少しでも早く弁護士に依頼することが不可欠です。

3 身柄の釈放に向けた活動

身柄釈放に向けては、まず、検察官と勾留請求をしないよう交渉することになります。検察官との交渉が実らず勾留請求されてしまった場合には、裁判官と勾留請求を却下するよう交渉することになります。

検察官や裁判官との交渉では、ご両親や配偶者様等に身柄引受書を書いてもらい、提出します。ご本人様にも、逃亡や罪証隠滅をしないこと、取調べで呼び出された時は必ず出頭すること等、遵守事項を記載した誓約書を作成してもらい、合わせて提出します。検察官や裁判官との交渉については、弁護士にお任せください。

盗撮事件では、ご本人様に逮捕歴がなく、住居・家族及び職場関係がしっかりしていれば、72時間以内に身柄が釈放されることも多いといえます。

4 不起訴処分に向けた活動

日本の刑事裁判では、よく知られているように、起訴されてしまうと99.9%有罪となります。そのため、盗撮事件では、起訴を食い止めるための活動が重要です。

起訴を食い止めるためには、第1に、反省していることを伝えることです。まず、取調べを受けた際に、「反省しています」「被害者の方に申し訳ないと思っています」と言って、反省していることを伝える方法があります。その他にも、被害者様に対して謝罪文を書いたり、検察官や警察官宛ての反省文を書くという方法もあり、これらの方法は記録に残る方法なのでより効果的であるといえます。不起訴の可能性を高めるためには、弁護士のアドバイスが不可欠といえるでしょう。

起訴を食い止めるためには、第2に、被害者様と示談をすることです。通常、ご本人様は、被害者様の住所を教えてもらうことができないので、弁護士が代理して被害者様と示談交渉することになります。示談がまとまれば、示談書を検察官に提出します。弁護士には、示談交渉をまとめるノウハウがあります。

被害者様の中には、示談に応じてくださらない方もいます。2次被害を防止する観点から、被害者様に対して示談を無理強いすることはできません。被害者様との示談がまとまらなかった場合は、示談に向けてどのような活動をしたか、示談金をいくら用意したか等を記載した報告書を、検察官に提出することになります。これも、反省を示す1つの資料となります。

盗撮事件の場合、逮捕歴がなく、被害者様と示談が成立すれば、不起訴となることも多いです。不起訴で終われば、前科はつきません。

5 特殊な盗撮事件

盗撮事件であっても、特別な器具を使用した場合や、同種の前科がある場合、住居侵入を伴うなどの悪質性が高い場合は、勾留期間が長引いたり、正式裁判となったりする可能性があります。ただし、そのような事案であっても、被害者様との示談ができれば、不起訴になる可能性もゼロではありません。

盗撮した事実がないにもかかわらず逮捕されてしまったという場合には、検察官や裁判官に対して、無実を裏付ける証拠を提出する必要があります。犯罪事実を証明する責任は検察官にあります。そのため、疑いは残っても、「ご本人様が盗撮した」ということを検察官が確信できない限り不起訴となります。

6 まずは弁護士にご相談を

盗撮を認める場合であっても、否認する場合であっても、まずは弁護士に相談し、事案に応じた適切な対応をとることが大切です。

当事務所では、それぞれの事案に即して、早期の身柄の釈放や、勤務先への対応、被害者様との示談交渉など、必要な弁護活動を行います。お気軽にご相談ください。