民事再生

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民事再生とは、民事再生法に基づいて、裁判所の監督を受けながら、法人格を維持しつつ事業を再生させる再建型の法的整理手続のひとつです。

1 民事再生のメリット

経営権を維持できる

民事再生の一番のメリットは、民事再生法によって、手続が開始されても、経営陣の退任や、地位を変更する必要がないことです。そのため、債務者自身の手によって事業の再建が可能なのです。

事業を維持できる

債権者の同意を得られれば、例えば負債の90%程度をカットすることも可能となります。また、カット後の負債についても、10年の内に元本を延べ払いする方法をとりますので、資金繰りの負担を抑えられます。

手形の不渡りや取立てを防ぐことができる

民事再生手続開始の申立てをすると、裁判所は「保全処分」を出し、弁済禁止を命令します。これにより、手形の不渡りや取立等を防ぐことができます。

2 民事再生において気をつけるべき点

民事再生を行なう上で気をつけるべき点は、企業としてのダメージ回避を出来るだけ少なくすることです。民事再生とはいっても、世間一般では倒産と見られてしまうため、実際に順調であった事業部分においても、イメージや信用が失墜してしまい、事業再生が上手く行かなくなってしまうことがあるためです。

信用低下を防ぐ手立てとして一番有効なことは、裁判所に民事再生を申し立てる前に、スポンサー企業を探しておくことです。民事再生を申し立てると、間違いなく信用は下がります。「この企業とこのまま取引していっても大丈夫なのだろうか」と、考えることは必然でしょう。しかし、信用の置けるスポンサーがついていることが分かれば、取引を続けることへの不安を和らげることができるのです。

3 民事再生の手続

一般的な民事再生手続のスケジュールですが、申立てから10日前後で開始決定が出ます。その後、約3ヶ月後が再生計画案の提出期限となります。そして、申立てから約半年で再生計画の認可決定が出されます。

裁判所に民事再生手続開始の申立てをする

裁判所に民事再生手続開始の申立てをすると、裁判所は保全処分命令を発令し、監督委員を選任します。この時点で、債務の弁済が禁止になり、手形の不渡りや取立てを防ぐことが出来ます。

監督委員は民事再生手続開始の要件の審査を行い、債権者集会の結果を踏まえて、民事再生手続が必要であるか否かの判断を行い、裁判所に意見書を提出することになります。裁判所はこの意見書に基づいて、民事再生手続の開始を決定します。

再生計画案を裁判所に提出する

開始決定後には、債権調査や、財産状況の調査を進め、今後の弁済計画と事業計画をまとめた再生計画案を裁判所に提出します。監督委員が再生計画案についての意見書を提出するとともに、議決権を持つ再生債権者の過半数の賛成同意と、議決権総額の2分の1以上の多数を持って、その再生計画が承認されます。

まずは弁護士にご相談ください。