債権回収の方法③ (訴訟手続)

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話し合いによる解決ができなければ、訴訟ということになります。

1 訴訟手続(通常訴訟手続)

訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては一番の正攻法です。訴訟手続については、時間がかかるというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、第1回目の裁判期日に相手方が出頭せず、直ちに判決が出るケースも意外と多いです。

相手方が裁判期日に出頭した場合でも、事実関係を争うことなく、「一括では支払えないので、分割払いにして欲しい。」等と和解の申し入れをしてくるケースもあります。

相手方が和解を申し入れた場合、直ちに判決とはならないことがあります。しかし、和解交渉がまとまらないときは、裁判官に対して、和解交渉を打ち切って、早期に判決をするよう要請することができます。

なお、相手方の住所が判明しない場合であっても、公示送達により、訴訟手続を利用することが可能です。

2 保全処分の利用(仮差押えと仮処分)

(1) 保全処分の意味

保全処分とは、債務者の財産処分を事前に防止して、保全しておく手続です。

勝訴判決を得ても、その時点にすでに債務者の財産が散逸していては、せっかくの勝訴判決も無意味になってしまいます。そこで、その前に債務者の財産の散逸を防ぐための制度が保全処分です。

そこで、訴訟の前に、あるいは訴訟を提起した後に、保全処分を利用することがあります。

(2) 保全処分の効用

保全処分は、本来的には債権回収の手段ではありません。

しかし、保全処分を行うと、債務者に心理的圧力を与えて(例えば、銀行預金への仮差押えは、債務者の銀行取引を一旦停止させることになります)、債務者の弁済を促す効果があります。

(3) 保全処分の種類

保全処分には、仮差押えと仮処分があります。

仮差押えは、金銭債権の執行を保全するものです。典型的なものは、債務者所有の不動産への仮差押え、債務者の銀行預金への仮差押えです。売掛債権への仮差押えもあります。 

仮処分は、金銭債権以外の債権(例えば、物の引渡請求権)の執行を保全するものです。