債権回収の方法② (裁判以外の法的手段)

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弁護士が相手方に文書を送ったり、直接交渉してみたものの、任意の支払に応じてくれないことがあります。この場合、法的手段を検討することになります。

法的手段の王道は、裁判です。しかし、裁判は、費用とコストがかかりますし、解決までの時間も長くなります。そこで、裁判以外の法的手段も検討に値します。

1 支払督促

支払督促とは、「支払督促」という書類を裁判所から相手方に送付してもらい、相手方の反論がなければ、「支払督促」に記載された債権を公的に認めてもらう制度です。 
相手方が異議を申し立てた場合には、「支払督促」は効力を失い、訴訟手続きに移行します。

取引先が債権の存在自体は争っていない場合には、支払督促手続を利用すると効果的な場合もあります。

2 少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を請求する訴訟を提起する際に求めることができる特別な訴訟手続で、原則として審理を1回のみで終わらせて直ちに判決を行う手続です。

しかし、相手方が少額訴訟に同意しなかった場合は、通常訴訟へ移行されてしまいます。また、少額訴訟によってなされた判決に、相手方が異議の申し立てた場合、再び審理をやり直すことなります。そのため、少額訴訟を選択したことで、かえって時間と費用を浪費してしまうこともあります。

このようなことから、少額訴訟をするかどうかについては、慎重な判断が必要です。

3 民事調停

民事調停は、裁判所を利用する手続です。訴訟と異なり、形式面があまり重視されないので、事案に応じた柔軟な解決が可能です。

弁護士に依頼して民事調停を申し立てた場合には、相手にとっては、このまま調停が成立しなければ次は訴訟になるという気持ちが、芽生えやすいと言えます。そのため、調停で解決する事件もあります。

しかし、調停はあくまで話し合いですから、相手方が納得しなければ、調停不成立ということで終了してしまいます。また、相手方が裁判所に出頭しなければ、それで不成立になってしまいます。

少額訴訟と同様、民事調停を申し立てるかどうかは、慎重な判断が必要です。