債権回収の方法④ (強制執行)

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判決、和解調書、調停調書などは「債務名義」と呼ばれます。しかし、それ自体はただの紙切れに過ぎません。相手方が任意に支払わない場合は、訴訟提起とは別に、裁判所に、強制執行の申立をする必要があります。

1. 強制執行の種類

強制執行には、大きく分けて、不動産執行、債権執行、動産執行の3種類があります。

2. 不動産執行

不動産執行は、相手方の不動産を差し押さえ、競売するという執行方法です。
不動産執行の場合、対象不動産に抵当権などの担保がついているときは要注意です。対象不動産に担保力がないときは、強制執行により回収を図ることが困難だからです。

3. 債権執行

債権執行の中心は、銀行預金の差押えです。銀行預金を差し押えれば、回収すべき金額の範囲内である限り、差押時の預金残高をそのまま回収することができます(債務者が個人の場合は、最低限の生活保障という観点から、一定額については差押えができない取り扱いになっています)。

また、相手方が企業であれば、仮にその口座にほとんど預金がなかったとしても、銀行は差押えがあると同企業との取引を停止します。そのため、企業経営に重大な支障が生じますので、任意に代金を支払ってくれる場合があります。

また、相手方の取引先等の第三債務者が判明している場合には、相手方の有する売掛債権を差押えることもできます。相手方は、自らの取引先からの信用を失いたくないとの理由から、差押後に任意に支払ってくる可能性もあります。

4. 動産執行

動産に対しても執行することができます。ただし、相手方の住所には、換価できるような動産がないことの方が多いので、実際に動産執行をすることは多くはありません。

強制執行は、債権回収における最後の手段となります。